2025/12/27
日本音楽能力検定協会です。
今回は「30才ボーカル未経験者が今からプロを目指すため」にやるべきことと絶対にやってはいけないをご紹介いたします。
結論から言うと、30才・音楽未経験でも「戦略的にやれば」プロボーカリストは狙えます。
但し、何の戦略も無く「才能任せ」「趣味の延長」では間違いなく無理でしょう。
今からプロボーカリストになりたい30才以上の方はぜひご参照ください。
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① まず理解すべき現実
まず大前提として、「プロ=歌が上手い人」ではないことと、「あなたは恐らく才能がない側」であるという事実を受け入れてください。
歌が上手くなればプロになれる、そして自分は歌が上手いほうだから可能性があると思っていると確実に失敗します。
プロボーカリストの定義とは、お金を生む価値がある歌、または需要を持つ人のことです。
極端に言うと歌は素人レベルでも、この人の歌を聴きたい、この人の声に癒される、この人に会いに行きたいと思われればプロとして成立します。
そして、年齢的・才能的には絶対的に不利であるという点も自覚が必要です。
例えばプロ野球選手になるような人は、小学生の頃から野球チームに所属し、中学でも当たり前のように野球部、高校では甲子園に出場し記録を残し、ドラフトなどを経てプロ野球球団に所属。その中でも才能や実力のある選手が一軍に上がり、誰もが知る野球選手として名を上げるのです。
30才で野球未経験の方が今からどうにかなる世界ではなく、その年齢になるまで野球に真剣に取り組んでいないこと自体が「才能がない」ということになります。
また、日体大などは小・中・高で群を抜いて体育の成績が良かった生徒が集まるそうです。
小・中・高ではスポーツは何をやっても学年一位の生徒達が日体大に行き、その中でもトップクラスの成績の生徒がオリンピックに出場できるレベルに達するそうです。
つまり、学年一運動神経の良かった生徒達でもオリンピックに出ることは非常に困難で、そもそも体育が苦手だったような生徒達にはオリンピックは一生関係ない場所なのです。
あなたが目指しているのはそういう場所です。
野球経験のない30才の大人が今からプロ野球選手を目指す、体育の苦手だった子供が何の運動経験も積まず30才になり、今からオリンピックに出たいと言っているのと同じです。
現実的には99%無理な幻想ですが、音楽の世界では1%だけ可能性があります。
その可能性をしっかりと手繰り寄せ、現実にするための具体的な方法をご紹介します。
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② 最初の3ヶ月で絶対やること(基礎構築)
❶ ボイストレーニングは「自己流禁止」
まずは最低限の歌唱力を手に入れるところからスタートです。
独学スタートは癖が固定されてしまうため絶対に避けるべきで、週1回でもいいのでプロ実績のある人からボイストレーニングを受けましょう。
ボイストレーニングを開講している人の中には、プロ経験など全くないのにお金をとって教えている人もたくさんいます。
カラオケで上手いこととプロボーカリストとして生きていくことは全く別次元の話で、求められる上手さや能力がまるで異なります。
少しカラオケで上手いと言われた程度の人に無駄なお金を払わないよう、事前によく調べることが重要です。
しっかりとプロとしての実績があるボイストレーナーを見つけたら、正しい発声、音程の取り方、リズムの取り方など基礎的なことを習いましょう。
高音の出し方を習いたい、ミックスボイスを習いたいなど、あなたが素人の世界で覚えた言葉を先生に押し付けることなく、プロの世界で必要なことだけを素直に教わることが最重要です。
❷必ず 毎日「録音」する
録音をして自分の歌を聴くことは、ボーカリストを目指す人にとって最初の難関と言えます。
自分としては上手く歌えているつもりでも、録音したものを聞いてがっかりしたという経験は誰しもあります。
しかし、その録音した歌こそが他者に聴こえているあなたの歌そのものですので、そこを改善していく必要があります。
録音を聴くようにすると上達スピードが10倍アップします。
「上手く歌えているつもり」がなくなり、現実を直視できるようになります。
10代などの若い方でしたらそういった時期も良いかも知れませんが、30才からプロを目指すのであれば寄り道をしている時間はありません。
今日この瞬間から、必ず毎日録音をして改善を繰り返しましょう。
❸ボーカル検定を取得する
ボーカル検定におけるプロ基準は2級以上の合格ですが、今回のケースではプロ級になる必要はないので、最低3級を取得できれば十分です。
5級、4級ではさすがにまだ人様に聴かせてお金を取るレベルには達しませんが、3級の実力+何かしらの付加価値があれば、十分にプロとしてやっていけます。
そして、いわゆるアーティストではなくサポートボーカリスト、仮歌ボーカリストなど、実力で雇ってもらえるお仕事の場合は、ボーカル検定という客観的に審査された資格が最も有効に機能します。
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③ 4〜6ヶ月目:プロ思考に切り替える
❹ ジャンルを1つに絞る
ここからは実際にプロとしての領域に入っていきます。
冒頭でもお伝えした通り、歌が上手い=プロではありません。
大事なのは、今のその歌唱力をどう使うか、どうお金に変えるか、どう人に届けるか、です。
まずはあなたが戦うジャンルを一つに絞りましょう。
バラード、アニメソング、ロックなど何でも構いませんが、ここで重要なのはあなたが好きなジャンルではなく、あなたが勝てそうなジャンルを選ぶことです。
小さい頃からバスケをやっているならそれなりに勝ち方があるかも知れませんが、30才から始めるあなたにはそんな試行錯誤を繰り返す時間はありません。
他者から見てこれが似合う、と言われるジャンルを選ぶことが必須条件です。
余談ですが、人はどうしても才能のないものに憧れてしまう傾向があります。
背の低い人は背の高い人に憧れ、髪の毛が天然パーマの人はストレートヘアに憧れるものです。
しかし、背の高い人は意外と、背が低い方が可愛い、と憧れていたり、ストレートヘアの人は癖っ毛の方がいいと思っていたりするものです。
つまり、憧れた時点であなたにはその才能がないことがほぼ確定しています。
その方向の才能があるのなら、あなたはその方向に憧れないはずなのです。
例えばあなたがロック好きだとして、しかし演歌の才能が抜群にあるとしたら、あなたはどちらを選びますか?
この質問に対して、それでも好きなロックを歌いたい!という人は、残念ながらプロの思考ではありません。好きなことをやっていたいだけの趣味、またはアマチュア志向です。
この質問に対して、それなら演歌を歌う!と即答できる人は、プロとしての思考回路をお持ちのようです。
自分がやりたいことはさておき、人が求めるものを作るのがプロの仕事です。
何も自分が好きではないことをやれという意味ではありません。あなたがそれを好きかどうかは関係なく、人が求めるものを作ってその対価としてお金をいただくのが、どの世界においてもプロというものです。
少し話が逸れましたが、まずはあなたの得意なジャンル、絶対に勝てるジャンルを見つけることが重要です。
ご自分の好みは一旦置いておいて、他者からの評価を参考に、あなたが勝てそうなジャンルを一つ絞りましょう。
❺ 声の個性を作る
最低限の技術とジャンルが定まったら、もう一つプロとして重要なのは歌の個性です。
攻撃的な声で聴き手の感情を高ぶらせるのか、ウィスパーボイスやファルセットを中心に聴き手を癒すのか、あなたの最強の武器を見つけることが重要です。
少し極端な言い方をするとしたら、あなたを嫌いな人を作ると言っても過言ではありません。
有名なボーカリストには必ず、アンチが存在します。
一つの方向に特化するということは、逆方向から見ると嫌われるということです。
あなたが憧れた大好きなボーカリストにも必ず、あの人の声は嫌い、曲は良いかも知れないけどあの人の歌い方だと入ってこない、という人が存在します。
しかしそれこそがプロとしての証で、誰からも好かれるということはあり得ませんし、どの方向にも特化できていないということです。
例えばあなたが高音で歌うのが得意で気持ち良いとしても、カラオケやライブなどで感想を聞いてみると、どうやら低い声の方が評価が高いかも知れません。
その場合、あなたがプロとして使える武器は低音ということになるので、今後は低音で勝負していくべきです。
❻ どこで稼ぐかを決めて、SNS・動画投稿は必須
あなたの武器が定まったら、次はその武器を使ってどの戦場で戦うかを決めます。こちらも今までと同じように、あなたが好きな場所を選ぶのではありません。あなたが勝てそうな場所を選ぶのです。
本当はライブハウスで活動をしたいけど、もしかするとYouTubeなどの歌ってみた動画での相性が抜群に良いかも知れません。
本当はライブ配信などで投げ銭をもらって生活したいと考えていたけど、実は顔出しナシで曲だけを投稿したらバズる方向性なのかも知れません。
また、本当は自宅にこもって曲を作り、楽曲提供をしてお金を稼ぎたいと思っていたけど、もしかすると路上ライブで爆発的に人が集まるのかも知れません。
とりあえず最初の1か月間くらいは色々な手法を試してみて、最も相性が良い場所、お金を稼げそうな場所を探すのがお勧めです。
念のためもう一度お伝えしておきますが、このケースではあなたのやりたいことは関係ありません。
あなたが勝てそうな場所を探す作業です。
絶対にやってはいけないこと3選
1. ボーカルオーディションに応募
数十年前から横行している詐欺の定番、ボーカルオーディション商法です。「顔出しナシでデビューできる!」
「カラオケで〇点以上出せる方、プロになれます!」
などの謳い文句での広告をよく目にするかと思いますが、ここでは詐欺オーディションの特徴をご紹介しておきます。
・応募者が全員する
・この時点であなたは1年後にデビューが決まった、などと言う
・合格後にボイストレーニング代、アーティスト写真撮影費、レコーディング費用、着手金や契約金などの名目でお金を請求する
音楽経験のない方などはこの手の詐欺にすぐに引っかかってしまいます。
このオーディション商法は音楽業界だけでなく、モデル、タレント、声優、本の出版などの業界でも昔から定番として横行しています。
その業界に詳しい人にとっては、そんなわけがない!と一蹴できるレベルのものなのですが、外部から見ると本当に今からデビューできるのかも!と感じてしまうようです。
詳しくは別の記事でご紹介しておりますが、この詐欺商法に騙されないために最も重要な考え方として、アーティスト側が会社にお金を払うことは一切ない、という点を押さえておいてください。
プロデビューをするということは、あなたはその会社にとって商品になるわけで、会社はあなたという商品を売り出すことでお金を稼ぎたいわけです。
つまり、商品であるあなたに対してお金を請求することは、本来絶対にないはずなのです。
この手のオーディション商法に引っかかってしまうと、膨大な時間とお金を無駄にした挙句、プロになれることは絶対にありませんので注意が必要です。
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2. メジャーデビューを目指した地道なライブ活動
10代、せめて20代前半であれば、バンドなどを結成して地道なバンド活動でファンを増やしていく、という手法が一般的ですが、あなたにはそんな時間はありません。
先ほどの例えでお伝えすると、野球であれば30才から地道に素振りを始めている場合ではないのです。
今持っている力で何とか戦える場所、あるいはお金を稼げる場所を探す以外にありません。
そもそも、現代ではメジャーデビューという言葉はあまり大きな意味を持ちません。
一昔前であればプロを目指す=メジャーデビューを目指す、しか選択肢がありませんでしたが、現代ではSNSなどを利用し個人でもファンを集め、武道館やドームを埋めるような人も多く存在します。
先ほどのオーディション商法などはまさにその典型で、実際にあなたのファンが増えるわけではないのに、ただメジャーデビューという言葉を目指すためにお金を搾取します。
大事なのはデビューという言葉や契約ではなく、あなたのファンが増えるという点です。
あなたの歌、あなたが提供する価値、あなたが作る動画などに価値を感じ、時間を使う、またはお金を支払うというファンがいてこそ、あなたはプロとして生きていけるのです。
3. 成功していない人たちと仲良くする
こちらも残酷な現実を突きつけるようで申し訳ないのですが、残念ながらあなたの周りには成功しているプロボーカリストはいません。カラオケで点数を競ったり、ガラガラのライブハウスでパフォーマンスをしている仲間と慣れ合っていては、あなたもその仲間入りをするだけです。
友達は友達として仲良く付き合っていけば良いのですが、あなたがプロボーカリストになるという目標とは何の関係もありません。
上手くいっていない仲間の真似をしてしまうと、あなたも同じように上手くいかない道を歩むことになります。
少なくとも、その仲間たちが歩んでいる道と逆方向が正解に近い道のりです。
まとめ
30才音楽未経験者が今からプロを目指す現実的ロードマップ(最初の3か月)
・ボイストレーニングに通い最低限の歌唱力を身に着ける
・毎日必ず録音をし、改善に努める
・ボーカル検定3級以上を取得する
(4~6か月目)
・ジャンルを絞る
・声の武器を身に着ける
・活動する場所を決める
(絶対にやってはいけないこと)
・ボーカルオーディションに応募
・メジャーデビューを目指した地道なライブ活動
・上手くいっていない人と仲良くする
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