【ボーカルレッスン】カラオケで原曲キーにこだわらない方が良い理由10選/日本音楽能力検定協会

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日本音楽能力検定協会です。
今回はカラオケや弾き語りなどにおいて、原曲キーにこだわらない方が良い理由について10選にまとめてご紹介させていただきます。

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1.自分の声に合ったキーで歌った方が、魅力が引き出せるから

無理をして高音や低音を出すより、自分に合った高さで歌った方が断然きれいに響きます。

人にはそれぞれ一番自然に響く音域(コンフォートゾーン)があります。
そこを外れると、喉が苦しそうに聞こえたり、声が細くなったりしてしまいます。
逆に、ご自身に合ったキーで歌うと、声の響き、声量
、表現力など、すべてがナチュラルに出るので、本来のあなたの歌の魅力を引き出すことが出来ます。

服を例に挙げると、例えばあなたの身長が160cmだとして、広告などでモデルさんが着ていた服に憧れた同じものを購入するとします。
しかしモデルさんの身長は180cmの場合、あなたは同じサイズの服を買ってもブカブカになってしまい、似合うどころか余計にカッコ悪くなってしまいます。
身長以外にも筋肉質であったり肩幅であったり、服とは様々な体型や個人差によって似合うものが変わってきます。

それと同様に、歌の原曲キーとは歌っている本人(プロ)にとってちょうど良いキー、つまりその人の魅力を一番引き出せるキーであって、あなたのキーとは何の関係もないのです。

あなたにとってその歌を一番気持ちよく歌えるキーは、原曲キーよりも低いかも知れませんし、高いかも知れないのです。


2.無理に原曲キーで歌おうとするリスク

キーが合わないまま無理に出そうとすると、声帯を痛めたり喉を壊すリスクが高まります。
声帯は筋肉なので、無理な高さや低さを無理やり出そうとすると、炎症を起こしたり、ポリープの原因になることもあります。

特に高音を力任せに出そうとするのは危険です。
喉は一度潰してしまうと声が変わってしまったり、完全にかすれた声になってしまったり、二度と歌えなくなる危険もあります。

時々プロのシンガーなどが「わざと酒とタバコで喉を潰したら、今のようなハスキーボイスになった」という発言も耳にしますが、それは本当に奇跡的な確率で上手くいったパターンに過ぎません。
誰でもお酒やタバコで喉を潰せば魅力的なハスキーボイスになるわけではありませんので、くれぐれも真似しないよう注意してください。

3.完コピは大事だがキーは別問題

プロの名演を細かく真似ることは、歌の上達にとって非常に重要です。
音程やリズムだけでなく、
・ブレスの位置
・ビブラートの揺れ幅や回数
・しゃくりやフォール
・ウィスパーボイスやエッジボイスの箇所
・チェストボイス、ミックスボイス、ファルセットなどの発声法
など、1音1音のコピーは非常に有効な練習となります。

しかし、前項でもお伝えした通り、キーに関してはその限りではありません。

声の高さ低さは生まれ持った素質や体型も大いに関係しますが、確かに練習次第である程度までは高音を出せるようになります。
しかし、頑張って高音が出せるようになることと、あなたの声の魅力が出せる声区は別問題です。
努力の結果頑張って出せるようになった高音が、あなたの声にとって魅力の出せる声区でない場合も十分にあり得ます。

ちなみに、「原曲キーで歌える方が凄い」「キーを下げるのはカッコ悪い」と思っているのは非常にアマチュア的な考え方です。
プロはそんな思考を一切持っておらず、カラオケなどでも人の曲を歌う場合はあっさりとキーを下げたりします。
それは自分の最も魅力的な声区を理解しているからです。
つまり、プロと同じ原曲キーで歌ってやろうという考えは非常に自己満足的でアマチュア的な考えなのです。
それよりも、自分が高い声を出せているという自己満足を捨て、聞き手にとっても心地良く、余裕を持ってあらゆる表現をこなせる方が、プロっぽい考え方と言えるのではないでしょうか。

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4.聴き手にとっては原曲キーは関係ない

そもそもあなたの歌を聴いている人にとっては、原曲キーかどうかよりも「聴いていて心地良いか」のみで判断をします。
・原曲キーで歌えていて凄いけど聞き苦しい
・キーは下げているけど聞き心地が良い
の2択であれば、聞き手にとって良いのは間違いなく後者です。

前項の服の例えのように、
・無理やりLサイズを着ているが似合っていない
・Mサイズに落としているがとても似合っている
の2択であれば、明らかに後者を選ぶはずです。

服のサイズに関してはLサイズにこだわる人はいないのに対し、
歌のキーに関してはなぜか原曲キーにこだわってしまうのは非常に滑稽なことです。
無理やり出した高音に満足しているのはご自身だけで、聴いているほうは耳を塞ぎたくなるほど聞き苦しいという場面もしばしば見受けられます。

5.原曲キーとは鍛え上げられたプロに合うキーのこと

プロのシンガーとは、幼少期から歌を学び、小中学生の頃には既に周りで圧倒的に歌が上手い存在として頭角を現し、プロになるために専門的な練習を積み重ね、さらにはプロとして活躍する中であらゆる経験を蓄積しています。
そんなプロフェッショナルが歌う曲の広い音域を、何の蓄積もない一般の方がいきなり真似しようとする方が無理があるのです。

野球で言うと松井選手のような大ホームランを打つこと、イチロー選手のような強肩、または大谷選手のような二刀流を、野球未経験の初心者がいきなり真似しようとしているのと同じです。
あなたが劣っているのではなく、どの世界においてもプロは凄いのです。

とは言え、原曲キーに憧れを持つのはいたって自然なことでもあります。
トレーニングを重ね、いつか憧れの曲を原曲キーで歌えるように目指すことはとても良いことです。
しかし焦って喉で力んで歌ってしまったり、聞き手にとって聞き苦しい声のまま自己満足をしてしまっては本末転倒です。
主観のみではなく客観的な感想を意識しつつ、着実に一歩ずつ、憧れに近づいていきましょう。

6.キーを変えられる人の方がプロに近い

例えば男性が女性曲を歌う場合、当たり前のようにキーを下げます。
逆に、女性が男性曲を歌う場合にも、当たり前のようにキーを上げます。

異性の歌であれば自分のキーにあっさり合わせることを選ぶのですが、なぜか同性の歌だと原曲キーにこだわってしまうのです。
何度もお伝えしているようにこれは非常に滑稽な考え方で、プロと同じキーで歌うことに歌の本質はありません。

例)
〇自分の視力に合わせて度を調整する→×憧れの人と同じ度に設定すると見えにくい
〇自分の髪質を考慮し、顔に似合う髪型にする→×憧れの人と同じ髪型に無理やりしてみるが似合わない
〇自分の体重や生活ペースを考慮し、ダイエット方法を考える→×いきなり憧れの人と同じ食生活にし、体調を崩す

上記のような例では後者が明らかにおかしいことが誰にでも分かるのですが、歌の原曲キーに関してはどうしてもこだわってしまう方が多いようです。
目的が「自己満足」であればそれでも良いかも知れませんが、目的が「聴き手を楽しませる」「他者からの評価を得る」であれば、原曲キーにこだわる無意味さをご理解いただけるかと存じます。

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7.成功体験を積み重ねる方が上達する

無理なキーに挑戦して挫折してしまうよりも、少しキーを下げてきちんと歌える体験を増やすことで、自分にもできる!という感覚を積み上げていく方が歌はどんどん上達します。
失敗体験の積み重ねは自己肯定感を損なうどころか、歌が嫌いになってしまうかも知れません。

例えば筋トレなどでもいきなり腕立て伏せを100回やろうと思っても絶対に無理ですが、まずは10回など出来る範囲から始め、毎日10回の腕立て伏せを繰り返していると、ある日11回出来る日がやってきます。
そのうち12回、13回、今日は20回できた!という日が訪れ、少しずつ100回に近づいていくものです。

歌のキーも同様に、まずはご自身にとって無理のないキーで歌うことに慣れ、余裕を感じ始めたら1つずつキーを上げ、まだ原曲キーで歌えない自分を責めることなく、「今日は-3で歌えた!」「1週間このキーで慣れたら次は-2に挑戦してみよう!」という風に少しずつ練習を積み重ねていきましょう。

8.原曲キーへのこだわりが「自己満足」になってしまう前に

既に何度もお伝えしていることですが、原曲キーで歌うことにこだわってしまうと自己満足に陥りやすく、聞き手の気持ちや感じ方を考えられなくなってしまいがちです。
一緒にカラオケを楽しんでいるご友人なども、
・聞き苦しいと伝えてあげるのが本当の友達か?
・でも傷つけたくないから適当に褒めておけば良いのか?
と悩ませてしまっている可能性があります。

あなたのその原曲キーのこだわりが自己満足となり他者を苦しませてしまう前に、必ず録音してご自分の歌を聴いてみてください。
自分としては原曲キーで歌えていると思っていたとしても、録音して客観的に聞いてみると非常に苦しいそうな歌い方になっていませんでしょうか?

もしご自分で聴いても判断できない場合は、周りの人に感想を聞いてみましょう。

さらに、周りの人は歌の専門家ではないため正しい感想を言えそうにない場合は、やはりボイストレーニングの先生やプロの歌手の感想を求めましょう。

その意見がご自身の求めていたのものとは違っていたとしても素直に受け止め、どうすれば他者にとって聞きやすい歌となるのか、研究と練習を続けてください。

9.あなたよりキーが低いプロも存在する

もしかするとこの視点はなかったかも知れませんが、あなたよりもキーの低いプロ、またはあなたにとっては低く感じる原曲キーの有名曲も多く存在します。
あなたがそのような曲をカラオケで歌う場合には、キーを上げることが正解となります。

多くの場合、プロの曲は自分のキーよりも高く、少し低めにして歌うか、無理して原曲キーで歌うかの2択となりますが、自分より低いキーの原曲であれば当然キーを上げて歌う方があなたの魅力を引き出せるわけです。

勘違いしないためのポイント:
・その曲を歌っているプロも、本当は高音を出すことが出来ます。その曲に限って低音域を使用することで魅力を伝えています。
・プロの世界には高音域を出せる方が凄いという概念がないため、あなたが誰かの曲を原曲キーより上で歌えるからと言って、あなたの方が凄いわけではありません。

10.音楽は人を楽しませるためのもの

最後に、最も根本的な概念となりますが、音楽や歌は人を楽しませるためのものです。
「他者にとって聞き苦しい歌でも自分さえ気持ちよくなれれば良い」という考えの方は一人でカラオケで歌っていれば良いだけですが、友達とカラオケに行く、人前で歌う、お客様の前で歌を披露するなどの場合はあなたの満足だけで済ませるわけにはいきません。

この感覚はマッサージに例えると分かりやすいのですが、マッサージ屋さんに行ってお金を払うと、施術師さんがあなたの疲れを癒したり凝りを解消してくれます。
あなた・・・お金を払って気持ちよくしてもらうお客様
施術師・・・自分は疲れるが相手を気持ちよくすることでお金を頂く
という関係性です。

つまり、歌い手であるあなたは気持ち良くなる必要がないのです。
相手を気持ちよくするために歌っているわけですから、あなたは気持ちよくなかろうが苦しかろうが自己満足できなかろうが、そんなことはお客様には何の関係もなく、その代償としてお金をいただいているわけです。

もちろん歌い手も気持ちよく歌えて、その歌を聞いたお客様も気持ちよくなれば最高ですが、あなたの自己満足という気持ちよさをお客様に押し付けて、聞き苦しい思いをさせたのにお金を払わせる、またはその場にいさせて盛り上がらせたり拍手をさせるというのは、音楽の本来の目的とは全くの逆となってしまいます。

相手を気持ちよくさせるためにあなたの歌が存在するという根本を思い出し、原曲キーとの向き合い方を再確認してください。

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