【楽譜は音楽の共通言語】楽譜の読み書きができるメリットと、出来ない人のデメリット/日本音楽能力検定協会

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日本音楽能力検定協会です。
楽譜の読み書きができると音楽活動において大きな利点があり、逆にそれができないことにはいくつかの制約や不利な点があります。
以下に、楽譜の読み書きができることの重要性と、それができない人の欠点をまとめてご説明させていただきます。

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楽譜が読み書きできる重要性

1.音楽の普遍的な言語にアクセスできる

楽譜は世界中のミュージシャンとコミュニケーションを取るための共通言語です。
国やジャンルが違っても、楽譜を介せば即座に意思疎通が可能となる、いわば音楽上の言葉と言えます。
日本に生まれ育った人は自然と日本語が話せますが、文字の読み書きは学校で習ったはずです。
貧しい国の子供などは、その国の言語を喋ることは出来るが読み書きは出来ないということも珍しくありません。
「楽譜の読み書きは出来ないが楽器は弾けるから問題ない」と思っているのは「文字の読み書きは出来ないけど日本語が話せるから問題ない」と言っているのと同じです。

2.新しい音楽の理解・演奏が速くなる

楽譜の読み書きができると、音源を聴かずとも楽譜を見れば音楽の全体像がつかめます。
逆に言うと、楽譜の読み書きが出来ない人にとっては、音源なしで楽譜を見てもどんな曲なのかが全く分かりません。
それはつまり前項でもお伝えしたように、会話は出来るが手紙や文章は読めないのと同じ状態です。
電話では話せるがメールでは意思疎通が出来ない状態なのです。

また、楽譜が読めると複雑な和声、リズム、構造などを理論的に把握しやすくなります。
耳だけで音楽を聴いている人は、例えばCコードがドミソなのか、ミソドなのか、ソドミなのかを音感頼りで聞き取る必要がありますが、楽譜が読めれば複雑な和声なども視覚的に理解できるようになります。

3.作曲・編曲・指導などの幅が広がる

楽譜を書く力があることで、自分の曲を他者に伝えたり、アンサンブルのパートを分担することが出来ます。
特にパートの多いオーケストラなどでは、楽器によってと音記号、へ音記号、は音記号を使い分けるため、高度な楽譜読み書きスキルが必要です。
また、指導者が楽譜を書けても、それを受け取る側が楽譜を読むことが出来なければ意味がありません。
音大や音楽教室では読み書きが必須スキルであることは当然ですが、例えばアメリカに行くために英語を覚える、中国に行くためには中国語を学ぶのと同じように、ペラペラになるには時間がかかるにせよ、最低限の日常会話くらいは出来るようになるべきです。

4.記憶に頼らず演奏が可能

1曲の長さが長い協奏曲などでも、譜面があればミスを減らし、安定した演奏が可能となります。
そのためには楽譜を読む力、特に初見で演奏することが出来る高い読譜力が必要となります。
ポップスやロックなどは1曲の長さが3~5分程度なので、基本的には暗譜することが前提の楽曲ではあるものの、クラシックなどでは1曲が数十分の曲も存在するため、暗譜するのではなく楽譜を見ながら演奏することを前提としています。
とは言え、やはりポップスやロックなどでも楽譜の読み書きができるに越したことはありません。なぜなら、瞬間的に次のコードやフレーズを度忘れしてしまった場合にも、感覚頼りにならず楽譜を元に正確に思い出すことが出来るからです。

また、即興演奏でも楽譜をもとにしたコード進行の理解が役立ちます。
アドリブで演奏している最中に良いフレーズが思いついた際にも、その場ですぐに楽譜におこして保存することも可能です。

5.学習効率が格段に上がる

楽譜の読み書きができると音楽理論との結びつきが強まり、学んだ知識を実演に即応用できるようになります。
また、あらゆる曲の構造を楽譜から分析する力がつきます。耳でしか音楽を聴けない人には理解できないかも知れませんが、楽譜を文字や絵のように視覚的にみると、耳では感じ取れない共通点や規則性に気付きます。

そもそも、今この記事を読んでくださっている方は100%文字の読み書きができるということです。
文字の読み書きができるからこそこのような記事にアクセスできるのであって、「日本語を話せるから文字の読み書きは必要ない」、また、「楽器が弾けるから楽譜の読み書きは必要ない」ということにはなりません。

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楽譜が読み書きできない人の欠点・不利な点

1.情報源が耳だけに限られる

音源がないと何もできないと言っても過言ではないくらい、情報源を耳だけに頼ってしまいます。単純な音符の羅列であれば楽譜を見るのも耳で聞き取るのも変わらないかも知れませんが、多少複雑になった場合の理解力が格段に異なります。
そのため、新曲習得に時間がかかるだけでなく、実は正確に理解できていない、習得できていないという場面もしばしば見受けられます。

さらに、自分のパートに限っては正しく聞き取れていたとしても、経験したことのない他のパートがどのように演奏しているかまでは正確に聞き取れないため、やはり楽譜読み書きの習得は非常に重要となります。
楽譜を読むことが出来れば、触ったことのない楽器がどのように演奏しているかまで正確に把握できるようになり、自分のパートとのアンサンブルにも大いに影響します。

2.他者と共演・協働しづらい

何度もお伝えするように、楽譜とは音楽における共通言語ですので、楽譜の読み書きができないことには他者との共演、協働も困難となります。
リハーサルや打ち合わせなどの場所において、メンバーが話し合っている言葉が一人だけ理解できない状態となってしまうため、メンバーに気を使わせてしまったり、自分だけ相手にされない状況になってしまったりする危険性もあります。

バンドのリーダーや指揮者からの指示を受け取ることも出来ませんし、あなたがリーダーである場合にもメンバーに指示を出すことが出来ないという状況になってしまいます。

3.自分の音楽を残せない

楽譜を書くことが出来ない人は、オリジナルの楽曲を作曲しても記録ができず、自分の足跡を残すことが出来ません。
楽譜ではなく音源で残せばよいと考えるかも知れませんが、それはつまり他者にも耳コピを強要することとなり、細かい部分での再現性が低くなってしまいます。

また、前項と同様、自分の曲を他人に演奏してもらうときも、論理的な説明が出来ないため、「ここはもっとこう・・・」「ギターはもうちょっと伸ばして・・・」と、説明が感覚的で煩雑になり、正確に伝わりません。
楽譜の読み書きができると「4分音符は1、付点4分音符は1,5、複付点4分音符は1,75」という風に正確に数字で理解できるため、他者が理解しやすくなり、あなたの曲の細かな部分まで正確に残すことが可能となります。

4.理論的理解に限界が出る

楽譜の読み書きが出来ない人は、スケール、コード、調など、音楽において重要な要素のほとんどを理解できません。
例えて言うならゲームセンターの音ゲーをやっているような状態で、ただこのタイミングでこの音を鳴らす・・・という作業の連続に過ぎず、理論的なアプローチが一切できていないという状態です。
また、楽典などの理論書や資料が読めず、知識の吸収に壁ができてしまいます。
音楽的な専門用語が出てきても理解できないため、「ここはダイアトニックで」「次の1小節はピアニッシモで」などと言われても対応できず、体系的な理解をしていないため毎回その場しのぎの対応をしなければならず、今回学んだことを次回に生かすことも出来なくなります。

5.音楽的成長が頭打ちになる

楽譜の読み書きができないと音楽学習のスピードと理解度が頭打ちになります。
例えば英語学習においては単語や文法を学び、日常会話やスラングと徐々に高度になっていきますが、楽譜読み書きが出来ないというのは英語学習で言うとアルファベットを知らない状態と似ています。
英語の先生の立場から見ても、ABCDE・・・が分かることは大前提として、CATはキャット(猫)、DOGはドッグ(犬)ということを教えたいわけですが、アルファベットを知らない生徒にはまず単語や文法ではなくアルファベットを教えるところからスタートしなければいけません。
逆に言えばまずはアルファベットを覚えないことにはたった1つの単語すら覚えることが出来ません。

初級〜中級レベルでは楽譜の読み書きができず耳だけの対応でもある程度通用する場合もあるかも知れませんが、上級やプロの領域では楽譜の読み書きが出来ないと一切通用しなくなります。
周りの音楽家も全員が楽譜の読み書きが出来て当然と思って接しているため、そもそもそのレベルに入って行くことすら出来なくなります。

6.指導ができない

申し上げるまでもないことですが、楽譜の読み書きができないと他者に指導することは出来ません。
感覚的にしか音楽を捉えていないため、生徒に伝えるための共通言語がないのです。
気心知れたバンドメンバー同士では感覚的な言葉でもなんとかなるかも知れませんが、お金を払って習いに来る生徒さんに対して「楽譜の読み書きができないので感覚的に教える」では話になりません。
あなたはそれでも教えられるつもりかも知れませんが、それでは生徒さんに対してあまりにも失礼ですし、生徒側としてもしっかりと理論的かつ体系的に音楽を学びたいと思っています。

有名なプロ音楽家などで時々インタビューなどにおいて、「私は楽譜を読めないが感覚的にフレーズを弾いている」などと言う人もいますが、大抵の場合、実は音楽を基礎からしっかりと学んでいて、楽譜の読み書きも当然できます。
しかし、例えばロックなイメージで売っているギタリストなどは、「真面目に音楽を勉強してきました」というよりも「感覚的に弾いているだけ」という方がイメージに合ってカッコいいため、戦略的にそのように言っている可能性の方が高いのです。

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まとめ

つまり、どのような場合においても楽譜の読み書きができることは非常に重要で、メリットは数えきれないほど多くあり、「楽譜が読めない方が良い場面」というものは一切存在しません。

現代では誰もが持っている携帯電話やスマートフォンに例えると分かりやすいのですが、携帯電話が普及する前も人々は当たり前のように連絡を取り合い、待ち合わせなどをしていました。
しかし、携帯電話が普及した今、「何時にどこで待ち合わせ」という約束を電話で取り付け、「もう着いたけど今どこ?」「〇〇の前にいるよ」などとメールで確認し合い、スムーズな待ち合わせが可能となります。
携帯電話が当たり前となった今から見ると、「昔の人はどうやって待ち合わせをしていたのだろう?」と不思議に思う感覚になります。

楽譜の読み書きができるというのもこの状態に似ていて、出来ない人から見れば「それでも何とかなる」と感じているかも知れませんが、楽譜読み書きをマスターして当然に使っている人から見ると、「楽譜の読み書きが出来ずにどうやって音楽をやるんだろう?」と不思議に感じます。

楽器の練習などと違い、楽譜読み書きは一度マスターしてしまえば二度と練習することなく一生使える便利な知識となります。
そしてその知識を一度持ってしまえばこれほど便利なものはなく、持っていなかった頃を不思議に思う感覚にすらなるので、これを機にぜひ学んでみることをお勧め致します。

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