ボーカル基礎的な発声法24選と練習法/日本音楽能力検定協会

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日本音楽能力検定協会です。
今回はボーカルの基礎技術およびトレーニング方法を一覧でご紹介させていただきます。
それぞれの技術名の後に簡単にトレーニング方法を補足しておりますのでご参照くださいませ。
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【発声・基礎技術】

1.腹式呼吸
横隔膜の伸縮を利用し、少ない力で大きな声を出す基本的な発声法。
仰向けに寝転ぶと自然と腹式呼吸になるので、まずは仰向けに寝て手をお腹に置き、息を吸うとお腹が膨らみ、息を吸うとお腹が凹むのを確認する。感覚を掴んだら起き上がり、立った状態でその呼吸を行い、お腹を凹ませながら息を吐くときに声を出す。息を吸う際に肩が上がらないよう注意する。

2.声帯閉鎖(グロッタル・クローズ)
声帯閉鎖(せいたいへいさ)は、声帯をしっかり閉じることで声に芯を持たせたり、ミックスボイスや高音発声の土台となる重要な要素です。
練習法としては、ハミングで声帯を閉じる感覚をつかむことは基礎トレーニングとなります。鼻の奥や唇あたりが軽く振動する感覚を意識しながら、息が漏れすぎていないしっかりした音を目指しましょう。

3.声門開放(オープンスロート)
声門開放とは、発声時に声門(声帯のある部分)を必要以上に閉じすぎず、自然に開いて響きやすくする状態のことを指します。これは特にミックスボイスや高音発声、喉を痛めない発声において非常に重要です。
声門が閉まりすぎると 声が詰まったり喉に負担がかかり、息苦しくなってしまいます。逆に声門が開きすぎると息漏れが多くなり、声がスカスカになってしまいます。
必要最低限の閉鎖で、共鳴をしっかり使い、息の流れを邪魔しない状態を目指しましょう。
練習法としてはまず楽な姿勢でため息をつき、喉が脱力している感じを覚えます。これが声門が開いている状態です。
次にそのため息に声を乗せてみましょう。この際、声を無理に張らないよう、息と声が自然と混ざるように意識します。
これが声門が開いている状態での発声となります。

4.頭声(ヘッドボイス)
ヘッドボイスとは息漏れしない裏声のことで、通常のファルセットと比べると芯のある高音に聞こえる声のことです。
練習法としましては、まずは腹式呼吸で普通のファルセットを出しながら、声門を閉じて息漏れを押さえます。
上手く感覚の掴めない方は、ハミングで「んー」とファルセットを出しながら、徐々に「んーあー」と移行していくと、感覚が掴みやすいと思います。
ファルセットと非常に似ていますが、このような練習を行うとファルセットとヘッドボイスの違いが明確に分かってきます。

5.胸声(チェストボイス)
いわゆる普通の地声のことをチェストボイスと呼びます。
腹式呼吸を使うとより深く張りのある声が出ます。
長所としては声量があり迫力があるという点ですが、チェストボイスのまま高音を出そうとすると力んでしまうため、高音域では脱力した別の発声が必要となります。

6.裏声(ファルセット)
裏声のことをファルセットと呼びます。
チェストボイスとは違う部分の声帯を使用します。

7.ヒーカップ
基本的にはチェストボイスで歌っているメロディーの一部、もしくは一音のみがファルセットに裏返ることをヒーカップと呼びます。
日本の曲などでも多く使用されていますが、ファルセットに裏返る直前のチェストボイス、また、ファルセットから戻ってきた直後のチェストボイスの音程をしっかり取るために練習が必要です。

8.ミックスボイス(ミドルボイス)
地声(チェストボイス)と裏声(ファルセット)の中間部分をミックスボイス、またはミドルボイスと呼びます。
ミックスボイスを多用する歌手が増えているため、ボーカル初学者の方でも練習を始める方が多く見受けられます。
ミックスボイスを習得すると高音部分でも脱力した状態で張りのある声が出せるようになるため、非常に実用的です。

9.ベルティング
口腔共鳴を使って出しているチェストボイスのことで、音域の上限近くで声のパワーを最大限に引き出せます。
ミュージカルの歌い方と言えばピンと来る方も多いのではないでしょうか?
ミックスボイスよりも力強い分、喉への負担も大きい。

10.軟口蓋の上げ下げ
軟口蓋(なんこうがい)の上げ下げの習得は、発声、歌唱、滑舌、共鳴のコントロールにとても重要です。
特にクラシック発声やミックスボイスなどに重要な役割を果たします。
軟口蓋とは口の奥の喉と鼻の境目にある柔らかい部分で、大きくあくびをするつもりで息を吸うと軟口蓋が上がります。

11.リップロール
唇をぶるぶると震わせてキープする基本的な練習法です。
リップロールを継続するためには強すぎず弱すぎないちょうど良い息の量が必要で、その量が歌を歌う際に適していると言われています。
リップロールを行うと口周り全体の脱力が叶い、リラックス効果もあります。
リップロールを行いながらの音程練習なども非常に効果的です。

12.タングトリル
いわゆる巻き舌のことで、こちらもリップロール同様、脱力に役立ちます。
そもそも巻き舌が出来ないという不器用な人もいるようですが、ボーカル基礎トレーニングの一つですのでぜひ練習して習得してください。
タングトリルを行いながらの音程練習も効果的です。

13.ストローボイス練習(SOVT練習)
声帯の無理な負担を減らしながら発声を整えるための非常に効果的なトレーニング方法です。
水を入れたコップとストローを用意し、声を息を同時に出しながら水に泡を立てます。
この際、水面が激しく波打ったりボコボコと音が強いようなら力み過ぎです。
泡が均一にブクブクでるように息を調整します。
歌い始める前のウォーミングアップや、声が枯れた時のリセットに最適です。

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【音域・ピッチ・声のコントロール】

14.ビブラート
ビブラートとは音程を滑らかに上下することで、表現力を持たせる手法です。
練習法としてはドシドシドシという感じで本来の音程から半音下がって戻ってくる練習を繰り返します。
この時、「あ~あ~」「い~い~」「う~う~」「え~え~」「お~お~」「ん~ん~」の6文字で繰り返します。
最初のうちは喉の使い方が器用ではないため上手くいかないと思いますが、毎日5~10分くらいを継続していくと、徐々に喉の使い方が上手くなっていきます。

15.ストレートトーン(ノンビブラート)
ビブラートをかけず真っすぐに伸ばすことで、緊張感や無機質さを表現できる。
ビブラートが上達すると癖のように全ての歌い終わりにビブラートがかかってしまう人も多く、ストレートトーンとビブラートを場面によって使い分けることが必要です。

16.スライド(ポルタメント)
ポルタメントとはギターやベース、トランペットやサックスにも使われる言葉で、「ゆっくりと」という意味です。
ポルタメントスライドとはゆっくりと上がっていく(または下がっていく)ことを指し、サイレンのように低い音から高い音へと滑らかに音程を上げていくなどの練習が必要です。

17.オクターブジャンプ
オクターブジャンプとは1オクターブ違いの同じ音を一気に跳躍する歌唱技術のことです。
例えばドから1オクターブ上のドまで上がることで、感情の爆発や展開の変化を強調できます。
練習法は単純で、ギターやピアノなどを利用して1オクターブ違いの音を出し、音程をなぞっていくと良いでしょう。

18.クリーンボイス
スクリームやシャウト、デスボイスやグロウルなどのダーティーボイスを使わず、いわゆる普通に歌っている状態の綺麗な声のこと。

19.ウィスパーボイス
歌声に息を混ぜてささやくように歌う技法。
優しさや切なさを表現できるが、腹式呼吸でしっかり響かせないとただの小さい声になってしまう。


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【ジャンル別発声・特殊技術】

20.シャウト
ボーカルのシャウトはロックやメタル、ハードコアなどのジャンルで多用される叫び声のような発声法で、迫力や感情を表現するテクニックです。
喉を痛めやすいので正しい方法を習得することが非常に重要です。
シャウトの種類もいくつかあります。
・スクリーム(金切声のような高めの叫び声)
・グロウル(低音の唸り声)
・フライスクリーム(声帯の間を空けて摩擦音を出す)
基本的なシャウトは声を張り上げるのではなく、腹式呼吸をしっかりと使い、息に混ぜるように抜くイメージ。
意外に思われるかもしれないが、力まず脱力して囁き声のような軽めの声から始めると、喉を痛めにくい正しいシャウトが手に入ります。

21.ゴスペルボイス
ゴスペル音楽特有の力強く情熱的な発声スタイルのことだが、
ゴスペルボイスという正式な声種があるわけではなく、声量の大きなチェストボイスで、息漏れが少なく芯のある声のことを指す。
J-Popなどの歌とは違い、歌詞の内容に深く感情移入をし、語るように叫ぶように歌う。

22.ヨーデル
チェストボイス(地声)とファルセット(裏声)を急速に切り替えてピッチを変化させる発声法、歌唱法です。
スイスやオーストリアなどのアルプス地方の発祥で、後にカントリー、民謡などにも取り入れられるようになった、「ホレレイホレレイホロレイヒー」のような歌い方のこと。
練習法としては地声と裏声の素早い移行が必要なので、ブレイクポイントを越える速度を上げる必要があります。

23.ベルカント唱法(クラシカルボイス)
ベルカントとはイタリア語で「美しい歌」という意味を持ち、オペラにおいて発展した声楽の技法のことです。
息を絶えず流し続けるレガート唱法が基本で、腹式呼吸によって押しだされた域に声が乗っているようなイメージです。
音楽的な美しさを醸し出すため、滑らかな音程移動が特徴です。


24.スピーチレベルシンギング(SLS)
文字通り「話すように歌う」という意味で、過度な息を使うことなくリラックスした状態のことを指します。
普通に喋る以上の声量を出さず小さな声のまま低音から高音まで使用する練習が必要です。

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