2025/04/23
日本音楽能力検定協会です。
今回は楽譜や歌詞を覚えることが苦手な方のために、暗譜練習法をいくつかご紹介させていただきます。
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最初は短いフレーズや小節ごとに分けて、徐々に長いセクションに進んでいきます。これにより、無理なく暗譜を進めやすくなります。
まずAメロのみを覚える
↓
歌詞や楽譜を見ない状態で何度もAメロを演奏する。
↓
思い出せなかった部分や間違った箇所を確認。
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Aメロを何度繰り返しても間違えなくなったら、Bメロを覚える。
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歌詞や楽譜を見ない状態でAメロとBメロを続けて繰り返す。
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思い出せなかった部分や間違った箇所を確認。
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Aメロ・Bメロを続けて何度繰り返しても間違えなくなったら、サビを覚える。
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歌詞や楽譜を見ない状態でAメロ・Bメロ・サビを続けて繰り返す。
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思い出せなかった部分や間違った箇所を確認。
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Aメロ~サビまで何度繰り返しても間違えなくなったら、次のブロックを追加で覚える。
これを繰り返すことで練習回数も増え、確実に記憶に定着します。
暗譜とは「楽譜や歌詞カードを見ない状態で次のフレーズを思い出せる」ということなので、楽譜や歌詞を見ない状態で練習しなければ意味がないのです。
ギターやピアノなどでは弾いている手の感触、ドラムなどではリズムを取る感覚、歌であれば歌詞の情景やストーリー性なども考慮し、ただ意味のない音符の羅列やコード進行、また意味を理解しない言葉の羅列ではなく、その前後の繋がりなどを考えながら練習すると良いでしょう。
これは英語学習などでも頻繁に用いられる手法で、例えば単語を覚える時にただ単語帳を見る(視覚)だけでなく、声に出すことで耳(聴覚)にその音が入り、ジェスチャーを交えることで体の感覚(触覚)も使用します。
五感の出来るだけ多くを使うことで脳が覚えやすくなります。
音楽においては味覚と嗅覚は無関係であるため、覚えるのが苦手な方はできるだけ視覚、聴覚、触覚の3つを使用するよう心掛けてみてください。
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例えばAメロをパターン1、Bメロをパターン2、サビをパターン3などに分けて覚えておくと、次の曲を覚える際に「この曲のサビはさっきの曲のAメロと同じだからパターン1」という風に、暗譜の手助けになります。
例えばC-G-Am-Em-F-C-F-Gという8つのコードを覚えるのではなく、「これはカノン進行だ」ということに気付くことが出来れば、8つのコードの羅列を一気に記憶することが出来ます。
他にもツーファイブ、丸の内サディスティック進行などのように名前の付いたコード進行も多く存在しますが、名前のついていないコード進行の方が多いため、ご自身で自由に名付けてみるのも良いかも知れません。
また、音楽ジャンルによって頻繁に使用されるコード進行、アーティストによって好んで使うコード進行パターンなども存在するので、同じアーティストの曲を何曲もカバーしていくと、その共通点に徐々に気付けるかと思います。
例えばトニックは終止感がある、サブドミナントはドミナントに行きたくなる、ドミナントはトニックに戻りたくなるという機能です。
この知識を利用することで、次のコードの可能性を絞ることができます。
本記事は「暗譜を速くするための方法」というテーマのため、コード機能については割愛させていただきますが、暗譜が苦手な方、暗譜を速くしたい方はコード機能について学んでみてください。
例えば日本の国歌である「君が代」を、歌詞を見なければ歌えない日本人はほぼいないと思います。
この理由は申し上げるまでも無く、幼少期から小学校、中学校、高等学校で何度も歌い、スポーツの祭典の開会式などでも何度も耳にしているうち、記憶しようとしなくとも記憶していしまうほど繰り返し聞いてきた(歌ってきた)からです。
他にも幼少期に母親に聞かされた子守歌、小学校で何度も歌った動揺(かえるの歌やチューリップなど)、青春時代に多大な影響を受けたロックバンドの歌詞なども同様に、何年ぶりに歌おうとしても自然と歌詞が頭に浮かんでくると思います。
また、最寄駅から自宅への道順を覚えるために地図を描く人がいないように、引っ越したばかりの頃は多少なり迷ったこともあるかも知れませんが、何度もその道を行き来しているうちに自然と覚えてしまいます。
同じクラスで3年間一緒に過ごしたクラスメイトの顔と名前も、覚えようと思って覚えたものではないはずです。
この料理はカレーライス、この料理はハンバーグなどという名前、また、カレーライスを作る手順やハンバーグを上手に焼くコツなども、何度も何度も繰り返すうちに身に着いたものであって、最初こそレシピを見たかも知れませんが、最終的に身に着いたのは繰り返し練習の賜物です。
それらと同様に、ギターやピアノなど楽器で演奏するフレーズも、例えば「猫ふんじゃった」だけは何年振りでも確実に思い出して演奏できるよう、圧倒的に回数を繰り返した練習に勝るものはありません。
逆に申し上げると、前述の小手先の方法を使って覚えようとするということは、そういう手法に頼らなければ覚えられない程度の回数しか繰り返していないということになります。
最後は多少根性論のようですが、やはり一番大事なのは「期限までに絶対に覚える」という意気込みです。
予定されたリハーサル日程やライブ本番の日までに必ず暗譜を完了するために、1~6の手法も大きな助けとなりますが、「最悪の場合は覚えられなくてもいい」という考えが心の片隅にあると、どのような手法を用いても暗譜は出来ません。
「何が何でも暗譜する!」という強い気持ちがあれば、1~6のような技術は自然と身に着きます。
そして、最後に最もお伝えしたいことは、暗譜する方が音楽は楽しいということです。
クラシックやオーケストラなどでは1曲の長さが非常に長く、楽譜を見ながら演奏することを前提としていますが、軽音楽やバンドに関してはプロもそうであるように、ほとんどの方が暗譜した状態でパフォーマンスをします。
暗譜を出来ていない状態でリハーサルに臨むと、他のメンバーは全員で合わせる練習をしているのに、自分だけは楽譜を見ながら必死についていくだけという状態になります。
これはお芝居に例えると分かりやすいのですが、それぞれのパートの楽譜は自分の役のセリフが載った台本に似ています。
リハーサル日程のこの日までにそれぞれが台本(自分のセリフ)を覚え、リハーサルではそれを合わせながら、「この場面ではもっと大げさに泣いてみよう」「この場面は逆に淡々と話そう」という風に微調整をします。
しかしメンバーの中に台本を覚えていない人がいると、その人だけは台本を片手に呼んでいる状態なので、感情表現や細かい設定の練習になりません。
また、本番までに暗譜が出来ていない状態だと、ご自身がライブを楽しむことが出来ません。
暗譜が出来ているメンバーはお客様との掛け合いを楽しんだり、メンバー同士でアイコンタクトなどをして演奏を合わせているのに、自分は楽譜から目を離すことが出来ず、せっかくのライブ本番という場所を十分に楽しむことが出来なくなります。
以上のような理由で、暗譜が出来ると音楽自体をより楽しむことが出来るようになりますので、自分なりの暗譜方法を見出し、リハーサルや本番をより楽しめるように準備しましょう。
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今回は楽譜や歌詞を覚えることが苦手な方のために、暗譜練習法をいくつかご紹介させていただきます。
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1.分割練習法
まずは一気に暗記しようとせず、曲を小さなセクションに分けて部分的覚えます。最初は短いフレーズや小節ごとに分けて、徐々に長いセクションに進んでいきます。これにより、無理なく暗譜を進めやすくなります。
まずAメロのみを覚える
↓
歌詞や楽譜を見ない状態で何度もAメロを演奏する。
↓
思い出せなかった部分や間違った箇所を確認。
↓
Aメロを何度繰り返しても間違えなくなったら、Bメロを覚える。
↓
歌詞や楽譜を見ない状態でAメロとBメロを続けて繰り返す。
↓
思い出せなかった部分や間違った箇所を確認。
↓
Aメロ・Bメロを続けて何度繰り返しても間違えなくなったら、サビを覚える。
↓
歌詞や楽譜を見ない状態でAメロ・Bメロ・サビを続けて繰り返す。
↓
思い出せなかった部分や間違った箇所を確認。
↓
Aメロ~サビまで何度繰り返しても間違えなくなったら、次のブロックを追加で覚える。
これを繰り返すことで練習回数も増え、確実に記憶に定着します。
2.目を離す練習
楽器演奏の場合は楽譜を見ながらの練習、ボーカル練習の場合は歌詞カードやカラオケの画面を見ながらの練習のみでは、いつまで経っても暗譜することは出来ません。暗譜とは「楽譜や歌詞カードを見ない状態で次のフレーズを思い出せる」ということなので、楽譜や歌詞を見ない状態で練習しなければ意味がないのです。
ギターやピアノなどでは弾いている手の感触、ドラムなどではリズムを取る感覚、歌であれば歌詞の情景やストーリー性なども考慮し、ただ意味のない音符の羅列やコード進行、また意味を理解しない言葉の羅列ではなく、その前後の繋がりなどを考えながら練習すると良いでしょう。
3.視覚以外の聴覚、触覚も利用する
曲のメロディやコード進行を声に出して歌ってみると、音としての記憶が強化されます。声に出すことで、手と耳、記憶がより密接に結びつきます。これは英語学習などでも頻繁に用いられる手法で、例えば単語を覚える時にただ単語帳を見る(視覚)だけでなく、声に出すことで耳(聴覚)にその音が入り、ジェスチャーを交えることで体の感覚(触覚)も使用します。
五感の出来るだけ多くを使うことで脳が覚えやすくなります。
音楽においては味覚と嗅覚は無関係であるため、覚えるのが苦手な方はできるだけ視覚、聴覚、触覚の3つを使用するよう心掛けてみてください。
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4.リズムパターンの暗記
曲全体を暗譜するのが難しいと感じた場合、リズムやパターンに着目して覚えます。リズムやパターンの記憶は曲を思い出す手助けになるため、これに集中すると速く覚えられます。例えばAメロをパターン1、Bメロをパターン2、サビをパターン3などに分けて覚えておくと、次の曲を覚える際に「この曲のサビはさっきの曲のAメロと同じだからパターン1」という風に、暗譜の手助けになります。
5.スケールの理解
ギターやピアノ、トランペットやヴァイオリン、またサックスなどの楽器で暗譜をしたい場合、スケール(音階)の理解は非常に助けとなります。
例えばドレミファソラシドというフレーズを覚える時、ドとレとミとファと・・・と考えると8つの音を順番に記憶しなければならないことになりますが、「Cメジャースケール」という理解があれば1つの理解で済みます。
日本語を例に挙げると、「ありがとうございます」という言葉を覚える際、私達日本人であれば感謝の言葉として「ありがとうございます」という一言で覚えることが可能です。
しかし、日本語が全く分からない外国の方にとっては、「ありがとうございます」という言葉は意味を持たないただの10文字の羅列となってしまいます。
その外国の方にとっては「最初が”あ”、次は”り”、次は”が”・・・」という風に覚えることになり、この方法では多くの言葉や文字数を記憶することは非常に困難です。
ミ・ファ#、ソ#、ラ、シ、ド#、レ#という7つの音を記憶する際にも、これがEメジャースケールだと理解することが出来れば、7つの音を1つずつ記憶する必要がなくなります。
6.コード進行やコード機能の理解
コード進行やコード機能の理解に関しましても前項と同様、ただ意味のないコードの羅列を一つずつ暗記するのではなく、文脈や流れを理解できると暗譜が飛躍的に速くなります。コード進行
定番のコード進行を覚えることで、一つ一つのコードを無意味に暗記するのではなく、ブロックごとにまとめて暗譜することが可能になります。例えばC-G-Am-Em-F-C-F-Gという8つのコードを覚えるのではなく、「これはカノン進行だ」ということに気付くことが出来れば、8つのコードの羅列を一気に記憶することが出来ます。
他にもツーファイブ、丸の内サディスティック進行などのように名前の付いたコード進行も多く存在しますが、名前のついていないコード進行の方が多いため、ご自身で自由に名付けてみるのも良いかも知れません。
また、音楽ジャンルによって頻繁に使用されるコード進行、アーティストによって好んで使うコード進行パターンなども存在するので、同じアーティストの曲を何曲もカバーしていくと、その共通点に徐々に気付けるかと思います。
コード機能
コード機能とは、「このコードの次はこのコードに行きやすい」という感覚的なものですが、この理解が暗譜速度に大きく影響します。例えばトニックは終止感がある、サブドミナントはドミナントに行きたくなる、ドミナントはトニックに戻りたくなるという機能です。
この知識を利用することで、次のコードの可能性を絞ることができます。
本記事は「暗譜を速くするための方法」というテーマのため、コード機能については割愛させていただきますが、暗譜が苦手な方、暗譜を速くしたい方はコード機能について学んでみてください。
7.繰り返し練習
暗譜する方法として専門的な知識を利用するなど様々な方法をご紹介いたしましたが、最終的には「繰り返し練習」に尽きます。圧倒的回数の繰り返し練習の前には、これまでにお伝えした方法は全て小手先の技術と言えます。例えば日本の国歌である「君が代」を、歌詞を見なければ歌えない日本人はほぼいないと思います。
この理由は申し上げるまでも無く、幼少期から小学校、中学校、高等学校で何度も歌い、スポーツの祭典の開会式などでも何度も耳にしているうち、記憶しようとしなくとも記憶していしまうほど繰り返し聞いてきた(歌ってきた)からです。
他にも幼少期に母親に聞かされた子守歌、小学校で何度も歌った動揺(かえるの歌やチューリップなど)、青春時代に多大な影響を受けたロックバンドの歌詞なども同様に、何年ぶりに歌おうとしても自然と歌詞が頭に浮かんでくると思います。
また、最寄駅から自宅への道順を覚えるために地図を描く人がいないように、引っ越したばかりの頃は多少なり迷ったこともあるかも知れませんが、何度もその道を行き来しているうちに自然と覚えてしまいます。
同じクラスで3年間一緒に過ごしたクラスメイトの顔と名前も、覚えようと思って覚えたものではないはずです。
この料理はカレーライス、この料理はハンバーグなどという名前、また、カレーライスを作る手順やハンバーグを上手に焼くコツなども、何度も何度も繰り返すうちに身に着いたものであって、最初こそレシピを見たかも知れませんが、最終的に身に着いたのは繰り返し練習の賜物です。
それらと同様に、ギターやピアノなど楽器で演奏するフレーズも、例えば「猫ふんじゃった」だけは何年振りでも確実に思い出して演奏できるよう、圧倒的に回数を繰り返した練習に勝るものはありません。
逆に申し上げると、前述の小手先の方法を使って覚えようとするということは、そういう手法に頼らなければ覚えられない程度の回数しか繰り返していないということになります。
最後に
上記の方法を場面によって組み合わせて毎日少しずつ進めていくことで、暗譜が速くなるはずです。最後は多少根性論のようですが、やはり一番大事なのは「期限までに絶対に覚える」という意気込みです。
予定されたリハーサル日程やライブ本番の日までに必ず暗譜を完了するために、1~6の手法も大きな助けとなりますが、「最悪の場合は覚えられなくてもいい」という考えが心の片隅にあると、どのような手法を用いても暗譜は出来ません。
「何が何でも暗譜する!」という強い気持ちがあれば、1~6のような技術は自然と身に着きます。
そして、最後に最もお伝えしたいことは、暗譜する方が音楽は楽しいということです。
クラシックやオーケストラなどでは1曲の長さが非常に長く、楽譜を見ながら演奏することを前提としていますが、軽音楽やバンドに関してはプロもそうであるように、ほとんどの方が暗譜した状態でパフォーマンスをします。
暗譜を出来ていない状態でリハーサルに臨むと、他のメンバーは全員で合わせる練習をしているのに、自分だけは楽譜を見ながら必死についていくだけという状態になります。
これはお芝居に例えると分かりやすいのですが、それぞれのパートの楽譜は自分の役のセリフが載った台本に似ています。
リハーサル日程のこの日までにそれぞれが台本(自分のセリフ)を覚え、リハーサルではそれを合わせながら、「この場面ではもっと大げさに泣いてみよう」「この場面は逆に淡々と話そう」という風に微調整をします。
しかしメンバーの中に台本を覚えていない人がいると、その人だけは台本を片手に呼んでいる状態なので、感情表現や細かい設定の練習になりません。
また、本番までに暗譜が出来ていない状態だと、ご自身がライブを楽しむことが出来ません。
暗譜が出来ているメンバーはお客様との掛け合いを楽しんだり、メンバー同士でアイコンタクトなどをして演奏を合わせているのに、自分は楽譜から目を離すことが出来ず、せっかくのライブ本番という場所を十分に楽しむことが出来なくなります。
以上のような理由で、暗譜が出来ると音楽自体をより楽しむことが出来るようになりますので、自分なりの暗譜方法を見出し、リハーサルや本番をより楽しめるように準備しましょう。
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