【パクリは正義か?悪か?】音楽業界のパクリ問題について/日本音楽能力検定協会

  • HOME
  • ブログ
  • 【パクリは正義か?悪か?】音楽業界のパクリ問題について/日本音楽能力検定協会
日本音楽能力検定協会です。
今回は日本音楽シーンにおけるパクリ問題について、詳しく解説させていただきます。
音楽検定受検はこちらから

1.売れているほとんどの曲は何かのパクリ?

まず皆様は、日本で売れている音楽のほとんどが海外の曲や昔の日本の曲のパクリであることをご存知でしょうか?
あなたが青春を捧げたバンドの代表曲、失恋時に涙を流したあの曲、生きる勇気をもらったあの曲も、残念ながら完全なオリジナルと言えるものはなく、まず間違いなく何かしらのパクリです。

基本的には
・アメリカのビルボードチャートの上位
・世界中で知られている名曲のメロディーをパクって歌詞を変える
・昔日本で売れた曲を部分的にアレンジ
・有名ギターリフや別の楽器のフレーズを歌メロに変更
などがパクリ元となっています。

もしもこの話が信じられないようでしたら、あなたの好きな曲の「タイトル パクリ」と検索してみると、その曲の元ネタとなった楽曲にヒットする可能性があります。

洋楽に詳しい人などがあまり邦楽を聴かなくなるのはこのような理由もあり、
元ネタを知らなかった頃は邦楽の曲も良く聴こえていたのですが、元ネタを知ってしまうとやはりそちらの方が良く聴こえてくるものです。

しかし、本記事はパクリを糾弾するもの、あるいは悪とするものではありません。
下記にパクリの本質について詳しく解説させていただきます。

音楽検定受検はこちらから

2.パクリは正義

あなたはピザやパスタはお好きでしょうか?
誰もが知っているイタリア料理の代表格で、今や日本でも代表的なピザ店、パスタ店が並んでいます。

それでは、このイタリア伝統の料理はどうやって日本にやってきたのでしょうか?
恐らくイタリアに行った日本人(料理人)が初めてピザやパスタという料理を知り、「これは美味しい!」と感じ、日本に持ち帰ろうと考えたはずです。
もしかすると「この料理を日本に持ち帰って売れば儲かる!」と考えたのかも知れません。

しかし、本場イタリアのピザやパスタを食してみると、やはりイタリア人好みの味付けとなっており、普段あなたが日本で食べているピザやパスタとは多少異なります。
ということは、普段あなたが食しているピザやパスタは、多少なりとも日本人向けにアレンジされたものということになります。
その結果、ピザとパスタは日本でも爆発的に流行しました。

ここであなたに質問です。
最初にイタリアからピザとパスタを日本に持ってきてくれた日本人に対して、
「パクってきてひどい!それは悪いことだ!」と思うでしょうか?
誰もそんな風には思いません。
それどころか、イタリアという異国の美味しい料理を教えてくれてありがとうと感謝すらするのではないでしょうか?

ピザやパスタをイタリアから日本に持ってきた人は、確かにパクって持ってきたのかも知れません。
しかしそれを日本人好みにアレンジし、結果的に多くの人を喜ばせ、さらに、イタリアに対して損害も与えていません。

これは音楽のパクリに関しても同じことが言えます。
世界中にはあなたの知らない素晴らしい音楽が数えきれないほどあります。
しかし、音楽に興味を持ち始める中学生や高校生の頃、英語で歌っている洋楽は敷居が高く、やはり日本のテレビなどで放送されているとっつきやすい音楽を好きになりがちです。

しかしそのままでは、あなたは海外の素晴らしい曲を知ることは出来ません。
そこで、アメリカなどで売れている曲のメロディーやコード進行はそのまま、歌詞を日本語に変えて歌ってくれているとしたらどうでしょうか?
それはピザやパスタを日本人好みの味付けに変えてくれたことと同じではないでしょうか?

日本のテレビから流れてくる売れているJ-Popしか聞く気のなかったあなたに対して、世界中の素晴らしい曲をあなたに分かりやすくアレンジして聞かせてくれているのです。
これは悪ではなく正義と言えるのではないでしょうか?

音楽検定受検はこちらから

3.パクらないとどうなるのか?

それでは逆に、全くパクらないとどうなるかを考えてみましょう。
多くの若いバンドマンなどは「俺達だけのロックがやりたい!」と意気込み、誰かのパクリにならないよう気をつけながら、自分達のオリジナリティーを追求します。

しかし、また料理に例えると、
・誰も知らない動物の部位
・誰も試したことのない調理法
・誰も聞いたこともない味付け
これは確かに誰のパクリでもない完全オリジナルですが、この料理を食べたいと思いますか?

同様に、
・誰も聞いたことがない楽器
・何にも似ていないメロディー
・誰も使ったことがないコード進行やスケール
これは確かに完全オリジナルの曲と言えるかも知れませんが、このような曲は誰も聴きたくない上に、きっと受け入れられることもないのです。

日本国内でも、昔売れていた曲に似ている曲が、現代でまた売れます。
これは延々と繰り返される流れで、昔の曲の方を知っている人から見れば「昔のあの曲のパクリじゃないか」と感じるかも知れませんが、現代の人から見れば斬新で、初めて聴く新しい音楽となり得ます。

そのため、10~20代の頃は日本の音楽シーンまたはテレビでよく放送されるJ-Popにハマりがちですが、30代を越えてくると最近売れている曲の元ネタが分かるようになってくるため、当時のようには胸がときめかず、感銘を受けることが少なくなっていきます。

この現象も先ほどの例と同様に、
昔の曲は今聞くとどこか古臭く、最近の若い方には受け入れがたいものとなります。そこで現代風のアレンジを加えたり、最新の技術でレコーディングをしたり、最近の若者の言葉で歌詞を書いたりして、昔の曲を現代風にアレンジして伝えてくれているわけです。

日本だけでなく国によって、やはり受け入れられやすいメロディーやスケールはある程度決まっています。
分かりやすいところですと沖縄県民が沖縄スケール(ドミファソシド)で作られた沖縄民謡を好むように、アラブ人はアラビア音楽、ドイツ人はドイツ好みのメロディーというものが存在します。

音楽検定受検はこちらから

4.パクる以外にやりようがない

また別の視点でお伝えするとしたら、音楽というものはパクる以外にやりようがないのです。
そもそも12音(ド、ド#、レ、レ#、ミ、ファ、ファ#、ソ、ソ#、ラ、ラ#、シ)しかないものの組み合わせで全ての音楽が構成されているため、どうしても似ている部分は出てきてしまいます。

例えばド→レ→ミと3つ音が連続するメロディーなどは世界中に数えきれないほどあるわけで、最初にド→レ→ミのメロディーを使用した人など分かるはずがありませんし、この3つの音の連続をパクリだと言われたら、もうどうにもやりようがないのです。

例えば人間の顔一つとってみても、世界人口の全員が目、鼻、口、耳という部位で構成されていて、人相などは確実に親のパクリとなります。
憧れている人の喋り方に影響されたり、恋人や家族と食べ物の好みが似てきたり、パクリだと言い始めたらこの世の全てがパクリであり、そもそもオリジナルなど存在しないということになります。

まだ音楽に興味を持ち始めたばかりの若者や、バンド活動を始めたばかりの初心者の皆様の視点に立つと、
・私の好きなバンドは誰のパクリでもない!
・俺達のバンドは誰のパクリでもなくオリジナリティーに溢れている!
と言いたくなる気持ちは十分に理解できますが、現実問題として音楽は全てパクリで構成され、パクリで次世代に受け継いでゆくものです。

「私の好きなバンドはパクリではない!」と思う方は是非、「あなたの好きな曲のタイトル+パクリ」と検索をしてみてください。
するとその曲の元ネタとなった曲が出てきます。
そしてあなたの好きなバンドや曲は誰かのパクリであることを認めた上で、それでもそのバンドや曲が好きなのであれば、その時に初めて本当の意味で好きだと言えるのではないでしょうか?

あなたがもしもバンド活動での成功を目指しているバンドマンであるとすると、自分達だけのオリジナリティーなどを追及することはやめて、
昔売れた曲や海外の人気曲+自分達の要素という考え方にシフトすることをお勧め致します。

音楽検定受検はこちらから

5.パクリが悪になる場合

パクリは悪ではなく、正義ですらあると散々お伝えしてきましたが、場合によっては悪となってしまう場合ももちろんあります。

メロディーの一部が全く一緒、歌詞の一部が似ている、コード進行が有名曲と同じ・・・この程度のパクリは許容される範囲であり、日本の音楽シーンでもしばしば見かけますが、
素晴らしい曲であることを知っていて、その曲が売れる前に自分達がパクった曲を発売し、利益を得た場合などは、パクられた元ネタのバンドから見ると悪になります。

実際に、数十年前にあるテレビドラマで使用されたロックな楽曲は、
まだインディーズで活動していたあるバンドの曲を借りてきたもので、その曲がドラマをきっかけに女性タレントが歌って売れてしまったため、元ネタを作ったバンドは売れることが出来なかったという話もあります。

6.結論

日本で売れている曲の中には、
・似ているという次元ではなく歌詞を変えただけの替え歌レベル
・パクリを隠す気もなく全く同じ
・洋楽をの歌詞を日本語にしただけ
というものも多く存在します。

最初に聞いた時にその曲に感動した方々落胆するかも知れませんが、
もしかするとあなたが青春を捧げた曲や失恋時に涙したあの名バラードも、日本の音楽シーンのビジネス的な目的により、意図的にパクったものである可能性が高いのです。

しかしそれは決して悪ではなく、あなたが知るはずのない世界の名曲や、あなたがまだ生まれる前に流行った昔の名曲を、あなたが味わいやすいようにアレンジしてくれたものだと考えれば、パクリを許容すること、または愛すことも出来るのではないでしょうか?

今日も日本中で数えきれないほどの音楽家やバンドマン達が、パクりにならないよう気を付けながら、あるいはパクリであることがバレないように工夫しながら、世界中の素晴らしいメロディーをあなた好みの味付けになるよう作り続けてくれています。

音楽検定受検はこちらから

お申し込みはこちら

音楽検定のお申し込みは
こちらからお願いいたします。