【似ているようで違う!違うようで似ている!】ファルセット、ヘッドボイス、ホイッスルボイス

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日本音楽能力検定協会です。
今回はファルセット、ヘッドボイス、ホイッスルボイスの練習方法をそれぞれご紹介させていただきます。
全て高音域の発声となるため、力んで無理やり出すのではなく、脱力や声帯の閉鎖などの細かなトレーニングが必要です。

特にこれらの土台となるファルセット(裏声)は、声帯の使い方が地声(チェストボイス)やミックスボイスと異なるため、しっかりとした練習でコントロールと安定感を養うことが大切です。

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🔰基本から始めるファルセット練習法

①リラックスした発声確認

目的:
喉・首・顎の力を抜き、リラックスした状態でファルセットを出せるようにする。

やり方:
•ハミング(鼻歌)で優しく「んー」→「ふー」と息を抜くように切り替える。
•息漏れを多めにして「はー」「ふー」と柔らかく発声。

ポイント:
最初は「ちゃんとした声」にしようとせず、「声帯が閉じすぎない」感覚を優先する。
数日~数週間同じ練習を行っていると、徐々に声帯が動かしやすくなり、コツを掴んでくる。

②スケール練習(滑らかな音階)

目的:
音程を安定させながら、ファルセットの音域を広げていく。

やり方:
•ピアノなどのスケールに合わせて「ウー」「イー」などの母音で5音階(ドレミファソファミレド)をファルセットで歌う。
•最初は中音域(例えばC4〜G4)から。徐々に高音(A4〜C5)へ拡張。

ポイント:
息が漏れすぎないように、少しだけ芯のある音に近づける意識を持つと◎。

③ファルセットの持続練習(スタミナ向上)

目的:
安定して長くファルセットを出せるようにする。

やり方:
•「ウー」や「アー」などの母音でロングトーン(4~6秒)をファルセットで伸ばす。
•声が震えたりかすれたりしないように、呼吸と喉のバランスを整える。

ポイント:
支えとなる腹式呼吸を意識して、ブレない息流を保つ。

④地声とファルセットの切り替え練習

目的:
地声とのスムーズな移行(特にミックスボイス習得の土台に)。

やり方:
•「ヤイヤイヤイ」や「ママママ」などの語で、地声→ファルセット→地声…と交互に発声。
•最初は声区の切り替えでひっくり返ってもOK。滑らかさは後から。

ポイント:この切り替えが上手くなると、ファルセットが楽器のように使えるようになります。

⑤曲の中で使ってみる

目的:
実践的な感覚を養う。

やり方:
•ファルセットがよく使われる楽曲を選び、意識して裏声で歌ってみる。
•元のキーが高すぎる場合は1〜2音下げてもOK。

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🔰ヘッドボイス徹底練習法(ステップ別)

ステップ0:正しい基礎姿勢・呼吸の確認

✅姿勢
•背筋をまっすぐにし、首を突き出さずリラックス
•胸を開いて下腹部で支える意識を持つ

✅腹式呼吸確認練習
1.仰向けになり、みぞおちに手を置く
2.鼻から息を吸って、お腹が膨らむのを確認
3.「スーーー」と息を細く吐きながら10秒保つ
→声を支えるための「ブレスコントロール」の練習になります

ステップ1:裏声とヘッドの違いを体感

①息漏れファルセットvsヘッドボイス
•息を多く使って「は〜〜」と高音を出す→息が漏れる裏声(ファルセット)
•息を抑えて「う〜〜」「に〜〜」で出す→ヘッドボイスに近づく(芯がある)

②「ウ」→「イ」スライド
•「ウー」から「イー」にスライドしながら高音を出す
→口の形が変わることで共鳴の場所が変わるのを感じる練習
→前に出る「イ」の形が頭に響きを集めるポイントになります

ステップ2:声帯閉鎖強化+共鳴位置の誘導

①「グッグッグッ」エッジボイス+共鳴練習(低音〜中高音)
•発音:「グッグッグッ」または「ナーナーナー」など
•喉の奥を閉じるように短く、太めに発声
•「グッ」が抜けてしまう場合は、鼻にかけるように
→声帯閉鎖と頭への響きをリンクさせるための練習

ステップ3:チェストボイスからヘッドボイスへの滑らかな移行

①サイレン練習(チェスト→ヘッド移行)
• 「ウーー↑↑↓↓」と地声から裏声にサイレンのように滑らかに上昇下降
• ポイント:
• 息が抜けすぎないように
• 声が「ひっくり返る」感覚ではなく「にゅるっとつながる」感覚を目指す

② 「Gee」発声(ミックス寄り)
• 高音スケールで「Gee-Gee-Gee」(例:C5〜C6)
• 鼻にかけつつも芯のある声
• 「G」が声帯の閉鎖を助け、「ee」で響きが前に出る

ステップ4:スケールトレーニング(ピアノ付きでも可)

①5音スケール
例:「ウ〜ウ〜ウ〜ウ〜ウ〜」(C-D-E-F-G)

②オクターブ跳躍(跳躍をスムーズにする)
•「Na〜 Na〜」で C4→C5(1オクターブ)
•ポイントは声区の移行を感じさせないようにすること

ステップ5:ヘッドボイスの安定と応用

①ハミングミックス(鼻腔共鳴強化)
• 「ン〜」を口を閉じて発声、鼻の奥に響かせる
• その後「ンーアー」「ンーイー」と母音を足して共鳴を前に出す

②軽くリズムで歌う
•「Na-na-na」「Ya-ya-ya」など、跳ねるようにリズムで出すことで喉の余計な緊張を防ぐ
•高音域でも軽く出せるようにする

補足アドバイス
•最初は息の支えと声帯のバランスに集中してください
•喉に違和感を感じたら即中止&深呼吸
•ヘッドボイスは「力強く」ではなく「軽く響かせる」方が正解に近い

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🔰ホイッスルボイス徹底練習法(ステップ別)

ホイッスルボイス(whistle voice)とは、声楽やボーカルテクニックの一つで、人間が出せる最も高い音域の発声方法のことです。その名の通り、笛(ホイッスル)のような音に聞こえるため、こう呼ばれています。

🔹特徴
• 非常に高い音域(通常のヘッドボイスよりも上)
• 笛のような鋭く、金属的な音色
• 共鳴が鼻腔や頭部に集中している
• 声帯の接地面積が極端に小さい
• 声帯の一部だけが振動しており、息漏れが少ない

🔹音域の目安
• 一般的に C6〜D7 以上がホイッスルとされる
• 例: マライア・キャリーは G#7 まで出せることで有名

🔹出せる人の特徴
• 声帯が柔軟で、特定の筋肉コントロールに長けている
• 高音域へのアプローチに慣れている(特にヘッドボイスがしっかりしている)
• 練習すれば一部の人は習得可能(先天的に出しやすい人もいる)

🔹出すための練習アプローチ(簡易版)
1.ヘッドボイスを安定して出せるようにする
2.ヘッドボイスの音域を少しずつ上に伸ばす
3.息を抑えめにして、少しずつ力を抜きながら高音に挑戦
4.口はリラックスさせたまま、息漏れを抑えて尖った音を探す
5.「イー」や「ウィー」など、狭い母音で練習すると出やすいことが多い

※最初は「キュッ」とした音が出るだけでもOK。そこから音程をコントロールしていきます。

🔹注意点
• 喉を痛めやすいので、無理は禁物
• 感覚がつかみにくいため、ボーカルコーチの指導のもとで練習すると安全

🔹ホイッスルボイスの有名な使用者
• Mariah Carey
• Ariana Grande
• Minnie Riperton
• Dimash Kudaibergen(男性で出せる希少な例)
※日本ではMisiaさんなども使用しています。

ステップ1:ヘッドボイスを極める

ホイッスルはヘッドボイスの延長線上にあります。まずは高音での発声の基礎を作りましょう。

練習法
• 「ウー」や「イー」の母音で、裏声を使いながら徐々に高音に挑戦
• 息を強く出しすぎない(声帯がうまく閉じなくなる)
• 高音域で「ヒュー」「フィー」といった軽い音を試す(口は小さめ)

ステップ2:息漏れを減らす(声帯閉鎖の強化)

ホイッスルではごく小さな声帯振動だけを使うため、息漏れがほとんどない状態を目指します。

練習法
• 息を細く長く出す練習(口笛のように)
• ハミングで高音を出し、鼻腔共鳴を感じる(鼻がビリビリする感覚)
• リップトリルや「グッグッ」などで声帯の閉じを意識

ステップ3:ホイッスルに近い音を探る(感覚探し)

本格的なホイッスルボイスの前に、「キュッ」「フィー」「ヒィー」という音が出せれば、その近辺にホイッスルの可能性があります。

練習法
• 高音で「ウィー」「ヒー」と出しながら、声が細く鋭くなるポイントを探す
• 喉や舌の力を抜き、頭に音が響く感じを意識する
• 声を「限界の高さ」で出し、息がスカスカしていない高音を目指す

ステップ4:ホイッスルボイスに入る(初歩)

この段階では、もはや「声帯の端っこ」しか振動していません。音程が不安定でも、金属的で細い音が出ていればOK。

練習法
• 深呼吸でリラックス → 高音に一気に滑り上がるように「ヒィーッ!」と声を出す
• 出たらその音で音程を少しずつ動かす練習(1〜2音でOK)
• 「出せたけど再現できない」というのはよくあるので、感覚をメモ・録音する

ステップ5:コントロールと安定化

ホイッスルが出せても、音程を動かす・安定して出す・持続するのは別の能力です。

練習法
• 出たホイッスル音にピアノなどで音程を合わせる(耳と声の訓練)
• ビブラートやポルタメントを軽く入れてみる(難しいが効果的)
• ホイッスルの高さで「ド→ミ→ソ→ド」のような音階練習を試す(1秒でOK)

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最後に

ファルセット、ヘッドボイス、ホイッスルボイスという3つの発声法は、似ているようで違う、そして、違うようで似ている発声法です。
息漏れの具合や声帯の閉じ方などで異なる点もあるのですが、全てファルセットからの延長線上という点においては同じジャンルに括ることもできそうです。

歌い方の幅が増えると歌える曲が一気に増えて楽しくなります。
ぜひ無理はしないよう気を付けながら、ファルセット、ヘッドボイス、ホイッスルボイスを習得してください。

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